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【乗換BIG4】稚内から宇和島まで、大人1枚ください

【乗換BIG4】稚内から宇和島まで、大人1枚ください

乗換BIG4インタビュー 鈴木編vol.4

駅すぱあとのヴァル研究所が誇る鉄道ファン、乗換BIG4こと三上、鈴木、廣戸、夏目のインタビューをお送りします。
(vol.3からのつづき)

インタビューを受ける人


乗換BIG4:鈴木(すずき)
ヴァル研究所 開発部所属。駅すぱあとの中枢に潜り込み、乗り鉄のかたわら運賃制度を極めんとするエンジニア。足の向くまま気の向くままに鉄道旅を楽しんでいる。

——鈴木さんは、2014年の夏に面白い旅をしたそうで。

ブログのネタにしてるんで、ここでしゃべっちゃうのはどうかなと思ってたんですけれど。これ、切符なんです。稚内から宇和島まで。

——北海道の北の端から、四国の西の端までですね。料金は34,680円!?

はい、片道でです。これにプラス特急券が約50,000円。青森-秋田、秋田-新潟、新潟-富山、……、多度津-宇和島。ハイ。(と言って、特急券の束をトランプのようにテーブルでトントンと揃える)

——やりすぎでしょ(笑)。この旅の目的って何ですか?

新幹線を使わず、在来線特急だけで、一筆書きで一番長く乗り継ぐことが目的です。で、経路を調べたらこうなりました。稚内から函館、青函トンネルを通って本州に入ったら日本海側を進みます。北陸から京都の1つ手前の山科駅まで来たら東海道線で名古屋に出て、また西へ来て紀伊半島を一周し大阪、京都へ。そして福知山を回ってから神戸、姫路から山陰地方を少し回って、岡山を経由して四国へ入り、宇和島までと。経由地を全部書き起したらこうなります。

稚内-宗谷本線-旭川-函館本線-白石-千歳線-沼ノ端-室蘭本線-長万部-函館本線-五稜郭-江差線-木古内-海峡線-中小国-津軽線-青森-奥羽本線-秋田-羽越本線-新発田-白新線-新潟-信越本線-直江津-北陸本線-近江塩津-湖西線-山科-東海道本線-名古屋-関西本線-河原田-(伊勢鉄道)-津-紀勢本線-和歌山-阪和線-天王寺-大阪環状線-大阪-東海道本線-京都-山陰本線-福知山-福知山線-尼崎-東海道本線-神戸-山陽本線-姫路-播但線-和田山-山陰本線-伯耆大山-伯備線-倉敷-山陽本線-岡山-宇野線-茶屋町-本四備讃線-宇多津-予讃線-高松-高徳線-佐古-徳島線-佃-土讃線-多度津-予讃線-内子-内子線-新谷-予讃線-宇和島

——もう分かんないです! 全部で何日掛かりましたか?

5日間。乗りっぱなしです。それに、稚内まで行く日(飛行機)と、宇和島から帰ってくる日(新幹線)もありますからね。夏休み9日間のうち、実に7日間をこの旅行に費やしました。旅費は約20万円で、そのうち交通費が14万円でした。

——この切符を買う時ってどうしたんですか? 「稚内から宇和島まで、大人1枚」って言っても、これは出てこないですよね。立川志の輔の落語『みどりの窓口』みたいな世界が繰り広げられたのでは?

 えーと、まず口頭でこの経路を説明しようと思うこと自体が無茶ですね。だから全部紙に書いて持っていきました。

——駅員さんの反応は?

いやあ、いたって淡々としていましたね。ただ、複雑な内容の切符なので、そう簡単に作成できるものではなく、即日発行することはできませんでした。なので「後日お渡ししますね」という対応でした。

——意外ですね。「すごいですね」とか「頑張ってくださいね」みたいには、ならなかったんですか。

 そういうのはないですよ。ただ、道中はですね、特急列車って検札するじゃないですか。そうすると車掌さんから「おお!これはすごいですね」なんて言われて、「ここまでどう来て、ここからはどう行くんですか?」なんて、路線図を見ながら話す方もいました。

——印象に残っている場所は?

JR東日本・羽越本線の、山形の鶴岡あたりから新潟の村上あたりまでですね。海のすぐそばまで山が迫っている、そのわずかな平地に、町も道路も鉄道も、へばりつくようにあるんですよ。それがある意味絶景というか、他では見られない風景が広がってましたね。

——では、道中、最も困難だったことは?

4日目の夜10時半に鳥取に着いて、翌朝7時の列車に乗ったので、この時は一番キツかったですね。毎日だいたい12時間ぐらい乗ってるので、この頃には腰もバッキバキでした(笑)。

(おわり)