【ノコギリグラフ】北海道新幹線で函館は東京に近づいたのか?
こんにちは。乗換BIG4の廣戸です。
みなさんご存知の通り、今春3月26日に「北海道新幹線」が開通しました。ということで自分もさっそく、4月に乗車してきました。
E5系(左)とH5系(右)@新函館北斗駅
ところで、この北海道新幹線開通により、函館はどれだけ東京に近づいたのでしょうか。新幹線の終点が新青森駅だった頃は、新青森で特急「白鳥」「スーパー白鳥」に乗り換える必要がありました。
北海道新幹線開業に伴い廃止された「白鳥」号@新青森駅
先日の特集記事にもあるとおり、北海道新幹線では東京駅〜新函館北斗駅間を最速4時間2分で移動することができます。しかし、実際にこの時間で走るのは、停車駅の少ない下り2本・上り1本のみで、逆に停車駅の多い列車だと、4時間半以上かかる場合もあります。
また、新幹線の終着駅は新函館北斗駅ですが、函館の市街地の代表駅である函館駅へは、さらに「はこだてライナー」に乗り換え、15〜22分程度乗車する必要があります。東京駅から函館駅への乗り換え回数も「1回」で以前と変わっておらず、なんだかんだで5時間程度はかかってしまうようにも思えます。
果たして、北海道新幹線の開業によって本当に函館は東京に近づいたと言えるのでしょうか?
……というわけで、ちょっと分析してみましょう。北海道新幹線開通前後の、「東京駅→函館駅」を鉄道で移動した場合の所要時間の差を、グラフで比較してみました!
……謎の2本のギザギザが出てきましたね。ちょっと解説します。
単語の説明
ギザギザの線を「ノコギリ線」、ギザギザの線の谷の部分を「下の刃」、グラフ全体のことを「ノコギリグラフ」と呼ぶことにします。
ノコギリ線は、「東京駅から函館駅までの、東京駅での待ち時間を含めた所要時間」を、東京駅の出発時刻ごとに示したものです。「(時刻表を全く知らない状態で)東京駅のホームに着いてから、函館駅に到着するまでの時間」と言い換えることもできます。
ちなみに、下図で白くマルが付いているノコギリの下の刃部分が、「列車が東京駅を発車する」タイミングにあたります。
緑色のノコギリ線が「北海道新幹線開業前・新青森で特急に乗り換えた場合」の所要時間、紫色のノコギリ線が「北海道新幹線開業後・新函館北斗ではこだてライナーに乗り換えた場合」の所要時間です。
※所要時間=乗車時間+待ち時間
全体的に、緑色のノコギリ線(開業前)よりも紫色のノコギリ線(開業後)の方が下にあるのがわかります。「線が下にある」ということは、「同じ時刻に東京駅にいた時、函館駅に(2つの線の差の分だけ)早く着く」ということを意味します。
つまり、1日のほとんどのタイミングにおいて、新幹線開業後の方が函館駅に早く到着できるようになった、ということです。
具体的な開きを見てみると、縦軸の目盛りにして、およそ60分程度の差があります。これは「北海道新幹線開業により、東京駅から函館駅までの所要時間が約1時間短くなった」ということを示しています。
それだけではありません。開業後のノコギリの方が刃の数が増えており、また1つ1つの刃の大きさも小さくなっています。これは、北海道新幹線開業後の方が「列車本数が多い」あるいは「有効に使える列車の本数が増えた」ということになります。東京駅での待ち時間が減り、乗車できるチャンスも増えたのです。
ところで、逆に「函館駅から東京駅に行く」場合はいかがでしょうか。
上りも下りと同じく、北海道新幹線開業後の方が所要時間が短縮されています。
細かく見ると、函館駅を10〜11時台に出発しようとした場合には、東京駅到着時刻がほとんど変わりませんが、函館駅を午後に出発する場合には、タイミングによっては東京駅まで2時間以上早く到着できるようになりました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。「ノコギリグラフ」という形でダイヤ改正前・改正後の2つのグラフを比較することによって、具体的に「どの時間帯で特に便利になったか」など、それなりに多くの情報を視覚的にわかりやすい形で見て取ることができたのではないでしょうか。
さて、東京・函館間では、北海道新幹線の開業でほぼ完全に「早くなった」と証明できましたが、その先の札幌へはどのくらい早くなったのでしょうか。また、函館駅に行くのに余計な乗り換えが発生するようになってしまった青森駅ではどうでしょうか。
次回は、そのあたりをお話ししてみようと思います。
※6月現在、ダイヤ改正以前の日付による検索はできなくなっています。あらかじめご了承ください。
記事を書いた人
乗換BIG4:廣戸(ひろと)
ヴァル研究所開発部所属。幼少期から鉄道好きで、その知識・熱量は「人間駅すぱあと」と呼ばれるほど。20代前半で全国のJR路線の90%を制覇した乗り鉄の中の乗り鉄。